三宅島山頂の陥没地形と陥没量の時系列変化

測定結果の概要

(平成13年4月12日更新)
三宅島山頂の雄山に形成された陥没地形の時系列変化を見るために地表面モデルを作成しました。7月9日、7月22日、8月2日、10月6日、11月8日及び11月30日に関しては、空中写真を用いてデータを作成しました。また、9月28日に関しては国土地理院、日本電気株式会社、本田航空株式会社の3者により共同観測を行ったSARデータから作成しました。 地形計測結果は概ね次のとおりです。

 カルデラはほぼ円形で、その直径は時間とともに拡大し9月28日には最大径が約1,640mとなっています。カルデラ内の最も低い地点の標高は233m(9月28日)です。 陥没による標高の最大変化量は7月9日から7月22日までの間では約180mから約530mになりましたが、7月22日と8月2日の間ではほとんど変わっていません。 また8月2日から9月28日の間ではカルデラ底標高の差は約20mで、陥没はほぼ止まっているように見えます。 陥没量(体積)は7月9日には5,600万m3、7月22日には2億6,500万m3、8月2日には4億2,600万m3とこの期間で見る限りほぼ直線的に増大しています。(時系列変化は資料1(GIF:9KB)をご参照ください。)また9月28日には陥没量が6億m3に達しています。

 10月6日には、カルデラの直径はやや拡大し、1600mになっています。またカルデラ内の最低標高も以前と比べてやや低くなっています。但し、噴煙により標高計測が不可能な部分があるため、陥没量については求めることが出来ませんでした。空中写真を見ると、陥没孔南東側では、斜面の崩壊が発生してやや傾斜の緩い崖錐が形成されています。一方北西側は相対的に標高が低くなっていて、茶色く変色した水がたまっています。(空中写真は資料4(JPG:61KB)をご参照ください。

 11月8日、11月30日には、10月6日時点からカルデラの直径はあまり変化していません。カルデラ底は平坦で、北西側がやや深くなっています。カルデラの深さについては、だんだん浅くなっているようにも見えますが、確定的なことは分かりません。噴煙により地表面が見えず地表面モデルを計測できない部分があるため、陥没量は算出できません。
2001年1月16日の時点でもスオウ穴付近で崩壊が進行し、下部で崩壊堆積物の体積が増加し、また活動を続けているカルデラ内南部の火口付近で標高が増加しているほかは、大きく変化している部分はありません。

日付 カルデラ直径(最大径) カルデラ内最低標高 陥没前との標高変化量の最大値 陥没量
表 三宅島山頂陥没地形計測結果
7月9日 985m 564m 180m 5,600万m3
7月22日 1250m 254m 530m 2億6,500万m3
8月2日 1390m 245m 530m 4億2,600万m3
9月28日 1640m 233m 550m 6億m3
10月6日 1600m(注) 238m(注) 550m(注) -(注)
11月8日 1640m(注) 245m(注) 530m(注) -(注)
11月30日 1610m(注) 250m(注) 530m(注) -(注)
2001年
1月16日
1670m 224m 550m  
(注)10月6日以降に関しては噴煙によってカルデラの一部分が隠れているため、計測が不可能な部分があり、カルデラ最大径、カルデラ底最低標高等は実際の値よりも小さく計測されていると思われます。

 雄山山頂付近の東西・南北方向の断面の時間変化及び各時期の地形は資料2(GIF:72KB)資料3(関連ページへ移動します)のとおりです。
 測定は、下記の6時期の数値標高モデル(DEM)を用いて行いました。
  1. 陥没前の地形として、昭和56年に測量し、昭和58年に修正した、火山基本図(縮尺5千分の1)を基に作成したDEM
  2. 陥没後の地形として、7月9日に撮影した空中写真(縮尺1万分の1)から作成したDEM
  3. 同じく、7月22日に撮影した空中写真(縮尺8千分の1)から作成したDEM
  4. 同じく、8月2日に撮影した空中写真(縮尺8千分の1)から作成したDEM
  5. 同じく、9月28日に取得されたSARデータから作成したDEM
  6. 同じく、10月6日に撮影した空中写真(縮尺1万分の1)から作成したDEM
  7. 同じく、11月8日に撮影した空中写真(縮尺2万分の1)から作成したDEM
  8. 同じく、11月30日に撮影した空中写真(縮尺2万分の1)から作成したDEM
  9. 同じく、2001年1月16日に取得されたSARデータから作成したDEM